アントワネットが大変愛したイースト菓子です。マリー・アントワネットが、「パンがなければお菓子を食べればいいわ」と言ったかどうかは定かではありませんが、このお話しで有名です。
クグロフ型は大型の帽子を被せたような形で、ねじれたようにひだが入り、真ん中が煙突のように抜けています。この特別な形で焼かれていますが、この型自体がコレクションの対象にもなっています。クグロフは、17世紀初め、ドイツのレンバーグという町で作られたといわれ、18世紀の頃は大流行のお菓子でした。このクグロフにヒントを得て、ルイ15世の義父、レクチンスキー王が同じイースト菓子のババを考案し、それはやがて、今日親しまれているサバランを生むに至ります。
クグロフは別名アルザス菓子とも呼ばれていますから、アルザス地方でも盛んに作られていたのでしょう。また、ドイツ周囲のロレーヌ、スイス、オーストリアなどでも作られ、結婚式や洗礼式などのお祝いに食される伝統のお菓子でした。各地に違った作り方が伝わっているのもクグロフの特徴です。
マリー・アントワネットが好んだのは、オーストリアやポーランンドで長い間使われていた酵母(醸造に使うビール酵母など)で作られたものだったと言われています。マリー・アントワネットが、初めてこのお菓子を味わったのは、結婚前に母国オーストリアであったと言われております。
*新宿髙島屋4階 「サロン・ド・テ・ミュゼ イマダミナコ」にてお召し上がりいただけます。
ドイツ南西部、シュバルツヴァルト地方で生まれたケーキです。数あるドイツのケーキの中でも国際的に評価を得ています。イギリスでは「ブラックフォレストケーキ」として親しまれています。森林浴と恋人たちの森で有名なこの地方は、うっそうとした樅木の林が続き、昼でも薄暗く、シュヴァルツヴァルト(黒い森)と呼ばれている由縁です。
黒い森をトルテのチョコレートで表現し、シュヴァルツヴァルトの特産であるサクランボとキルシュ(サクランボのリキュール)、生クリームをたっぷり使い、必ずサクランボをのせます。
*新宿髙島屋4階 「サロン・ド・テ・ミュゼ イマダミナコ」にてお召し上がりいただけます。
絶世の美女ディアーヌ・ド・ポワチエが愛したチーズケーキです。焼いたチーズケーキですが、冷たくしていただくこのケーキはレアチーズケーキのおようにも感じられます。一度味わったら忘れえぬ美味しさです。
ディアーヌ・ド・ポワチエはフランス国王アンリ2世(16世紀)が熱愛した20歳年上の愛妾です。「月の女神ダイアナ」、それがディアーヌ・ド・ポワチエの名の意味です。限りなく優しく官能的、60歳にして30歳の若々しさをたたえていたと伝えられる美女です。
老いを知らぬ若々しさの秘訣として規則正しい生活、睡眠時間を多くとったことが記録されています。もちろん食生活にも気が配られたことが推察されます。
栄養が充実し消化を良くするチーズは、食後に欠かせない習慣がありました。当時すでにチーズケーキがあったと言われ、月の女神を思わせる純白のチーズケーキはディアーヌの食卓をたびたび飾ったと思われます。
*新宿髙島屋4階 「サロン・ド・テ・ミュゼ イマダミナコ」にてお召し上がりいただけます。
生い立ちや名前の由来にまつわるお話しが多すぎ、どれを信じてよいかはわかりません。ただ、ロレーヌ地方が起源であることは誰でもが認めています。ロレーヌ地方は多くのおいしいお菓子の生まれ故郷で、18世紀頃にこの地方で作られたお菓子は近代のお菓子作りの最良の古典となっています。
数あるお話しの中で、マドレーヌの生みの親ともいえるのは、スタニスラス・レクチンスカー王であることだけは確かなようです。レクチンスキー王はフランスのルイ15世妃の父上で、ルイ15世からロレーヌ公国を与えられたポーランド王です。食通としても有名な王様です。
コメルシーの館で、宮廷の召使がこのお菓子を作り王様にお出ししたところ、大層お気に召されました。この召使が女性で、"マドレーヌ"といったというのも由来のひとつになっています。
レクチンスキー王はこのマドレーヌを最愛の娘、ベルサイユにいるルイ15世妃マリー・レクチンスカに届けさせました。彼女はこのおお菓子のとりこになり、父に仕える忠実な召使の功績をたたえてその名を付けたともいわれています。
後に、コメルシーのお菓子屋さんがマドレーヌのレシピを買い取り、「コメルシーのマドレーヌ」として売られるようになり、一般の人々の口に入り、今日まで親しまれてきたというのは有名なお話しです。他にも様々な説がありますが、作った人の名を付けたというのが多いようです。
*新宿髙島屋4階 「サロン・ド・テ・ミュゼ イマダミナコ」にてお買い求めいただけます。
≪Why ?≫ 貝殻の形をしているのは?
本物の貝殻を使って焼いたという説、タレーラン公の料理人が貝殻の形をした型を使って焼いたという説などありますが、どれが本当か定かではありません。
≪参考≫
貝殻は、ルイ15世の時代、ロココ様式のシンボルのひとつです。